新たなランキングの出現で、読み取れる時代の気分も変わってくるか!?

ほんやまにあは、ランキングを見るのがけっこう好きである。


音楽やラジオを聴き始めた小学校の高学年から中学校時代は、ビルボードのヒットチャートをチェックしたり、ザ・ベストテンはかかさず見ていた。今でもオリコンのランキングやテレビの視聴率ランキングはチェックするし、カウントダウンTVランク王国もけっこう見たりする。日経エンタテイメント的な切り口は、けっこう好きだったりする。


ランキングから時代のキーワードや時代の気分のようなものを感じたり、読み取る作業というのは面白いし、ランキング上位だけでなく下位の動きや、まだ見えていない部分を予測する楽しみもある。


だからといって、ランキング1位のものばかり買ったり、絶対視するというわけではなく、逆に1位になったものはつまらないからと避けたり、目をつけたランキング下位のものが上昇するのを楽しんだりと、ランキング全体を読んだり、動きを分析・予測したりするのが好きなのだと思う。


このランキングを見て、何が赤丸上昇中で、これからはこのテが来そうだと、と語るようなランキングマニアというのは、けっこうオジサンの年代にもいると思うが、ランキングだけでは動きたくないとか、ランキング上位のものをあえて無視するとか、ランキングに対して距離は保っておかなければと思っていたりする。


ところが、今の20〜30代以下の世代では、ランキングというのは価値基準の一つというか、一番大きな選択基準にもなっている。いい悪いを語るまでもない、参考にするのは当たり前の、あって当然のものという感じだ。


私たちのころから、偏差値や模試の成績ランキングというのはあったが、今ほど徹底してはいなかった。提供するほうも、使うほうもランキングには現れない部分も大事にしたいとか、振り回されないようにしなきゃとか思うところもあり、どっぷりとランキングにはつかりきれなかったと思う。


考えてみると、親の世代がすでにランキングを判断の基準にする肯定的な世代だし、特に教育現場では学校でも個人成績でもランキングが絶対なので、子供のころからランキングには慣れ親しんでいる。


あと失敗したくない、損したくない、人から遅れたくないといった気持ちから、ランキング上位のものを選ぶことで安心したい、失敗する確率を下げたいと思う気持ちが我々の世代よりは強いと思う。


リアルタイムでランキングが表示されるのが当たり前のネットやケータイ、ゲームの影響もあるだろうが、ランキングを上げていくことが、数値化された、わかりやすい目標となっている。学校の勉強も仕事も人生も、どこかゲーム感覚になるのは当然だろう。


そういう意味では、出版界の売上げランキングというのは遅れていたというか、あえてはっきりさせなかったというか、タイムラグや集計方法が手作業の範囲だったりした。


ところが、1時間単位でランキングが変化し、すべての出版物に順位がついてしまう、アマゾンのベストセラーランキングの登場でランキング革命ともいえる衝撃があったと思う。


そして、さらにランキングビジネスの元祖ともいえるオリコンが出版のベストセラーランキングに参入したことは、業界の考え方に影響を与える部分は今後も大きいだろう。


実売数字というのは雑誌でも書籍でも、あまりはっきり出すことをタブー視というか、あいまいにしておくのがフツーだったが、オリコンでは、推計売上部数を全体の市場シェアの30%にあたるという全国1554書店(4月2日時点、ネット書店を含む)のデータを基に集計、その週の推計売上部数や推定累計販売部数を1冊単位まで発表している(その後アマゾンがデータを提供することになり、シェアが33%に上がっている)。


集計方法については見えない部分もあるが、実売部数を1冊単位まで細かく発表してしまうというのは、出版界サイドでは考えられないやり方だと思うので、その後の波及効果については注目していきたい。


前書きがだいぶ長くなってしまったが、ランキングについての感覚は出版界と他業界、そして読者や消費者とはだいぶ大きなズレがあると思うが、ランキングマニアでもあるほんやまにあとしても、出版界のランキングについて、勝手な感想や見解を連続して書いていきたいと思う。