二度と起こってほしくない事件


22日に八王子の書店で起きた悲惨な事件は、本や本屋さんを愛している人にとっては特に、ショックの大きい事件だった。


被害者の女性は大学では文学部に在籍し、2年前から書店でアルバイトしていたということは、本が好きで、本屋さんが好きな女性だったに違いない。


まさか、一生懸命に本を整理し、並べている書店の棚の前で、こんなことになるなんて、考えてもみなかったと思うが、本当に残念でならない。本人も、そしてご家族の方も、さぞや無念だったことだろう。


被害者の女性のご冥福を心からお祈りしたい。


33歳の容疑者は、仕事関係で悩みやストレスを抱えていたというが、それを解決するために、なぜこんな方法を選ばなければならなかったのか。


今まで漠然と、本屋さんというのは、万引きのような犯罪はあっても、このような惨たらしい事件が起こるような場所ではないと思っていた。


なんの根拠もないのだが、静かに、自分が好きな本や雑誌を選んでいる本屋さんでは、こんな事件は起こらない、安全な場所だという思いがあった。


今回の事件は、どこで、誰に向かって起こしても許されることではないが、犯行現場としてなぜ、自分の悩みを解決し、生きるヒントを与えてくれる可能性のある「本」が並んでいる「書店」を選び、相手に本当に無防備な書店員を選んだのか。


一見、殺人のような凶悪な犯罪を犯すようには見えない人が、こんな悲惨な事件が起きるとは思っていない場所で、「相手は誰でもよかった」「マスコミで(家族に)犯行を誇示したかった」と簡単に人を殺してしまうような、最近の犯罪の傾向に歯止めをかけるには、どうしたらいいのか。


様々な意味で、決して住みやすい、生きやすいとは言えない、危うい状況のこの日本で、社会としてだけでなく、子供を持つ親として、一人の人間として、真剣に考えていかないと、もっと大変なことになるのでは、という思いが沸いてくる。


いつまでも本屋さんが、私たちにとって安心して、じっくりと、好きな本を選べる場所であり続けることを、そして、そんなかけがえのない場所がなくならないことを願っている。


【八王子通り魔】「家族に犯行を知ってほしかった」 逃走意思なく家族に犯行誇示の可能性も
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080724-00000911-san-soci