独自のコンセプトや、ほかにはないコンテンツがあれば、チャンスがある時代

昨日、8月〜9月の出版業界に関するニュースをメモして感じたのだが、確かに暗いニュース、マイナスイメージのニュースが多い。この業界に限ったことではないが、このままだと、本を巡る環境がどうなってしまうのかと思う。


特に、雑誌、コミック、書籍を持っている大手総合出版社や書店の大手チェーンや取次など、大きいところのほうがより厳しいだろうと感じた。


これからはますます、大きいこと、物を流通させる量が多いことがメリットにはならなくなってくるだろう。


でも、ほかにはない1冊の本をつくって売るという、出版の商売本来のかたちから言うと、原点に戻るというか、他業界と同じような大量生産、大量販売というシステムを持続させていくのはもともと無理があるのだから、新しい出版販売のシステムを構築しなければ、生き残っていけないということだろう。


本は売れなくなった、売れなくなったと言っても、本というメディアのメリットというのは、ほかのものでは替えられないものであり、代価を払うに値する内容のコンテンツ、パッケージであれば買う人はなくならない。


小手先の仕掛けや大量宣伝によって売るのではなくて、読者が必ず存在する内容のコンテンツであれば、ネットによる情報発信やネットでの口コミによって、その評価は自然に伝わっていく。


そういう意味では、大手、中小といった規模や資金力ではなくて、売れるコンテンツを持っているか、売るためのコンセプトを持っているかが問われる時代になったといえ、それを持っている人にとっては、旧来の常識や慣習を超えて、読者に本を届けられるチャンスが来ているのだと思う。


出版社、書店、取次と事情は違うだろうが、個人の力、個人のセンスがものを言うというか、その個人の力を生かせる会社が生き残れるのだと思う。


そうすると、個人の力を伝えることが容易な小さいところのほうが、小回りがきき、思い切った展開ができるだろうから、大手ほど厳しいということになるがどうだろうか。


日々の仕事をしながら、突然、神風のような大ベストセラーが出て、業界全体が救われることを期待し続けても、そんなうまい話は、ますますこれからはありえないだろう。


でも、着実に次の手を打っているところはあると信じたい。

一読者として、ほんとほんやさんがなくならないように、そんな個人や会社に期待したい。