本と本屋さんの話:売れる雑誌考4・バックナンバーが売れる雑誌


前回までに、雑誌をビジネスとして成立させるためのヒントをいくつか書かせていただいたが、バックナンバーに対する考え方も一つのカギになると思う。


リアルタイムのニュース記事の論評や旬の話題や情報については、速さでは当然テレビやネットにはかなわないので、性別や年齢層を対象にし、様々なジャンルの情報を、広く網羅し、提供するような雑誌はやはり厳しいだろう。


読者としては、買ったときに読むだけでなく、とっておきたいと思わせるような資料的な価値とか、コレクションしておきたいと思わせる要素がある雑誌なら、続けて買いたいと思う。


そのためには、1号1テーマの特集主義であるだけでなく、そのテーマは狭く、内容も深いものほどうれしい(編集するほうは大変だとは思うが)し、それができれば5万部〜10万部の雑誌を支える固定読者を獲得することが自然にできるはずだ。


雑誌のバックナンバーについては、一部の大きな書店や各出版社のサイトで買えるものもあるが、売れ残ったものを売るというのではなくて、バックナンバーを切らさずに、恒常的に売っていくようなシステムをつくったほうがメリットが大きいのではないか。


新規読者の開拓につながったり、複数冊を一度に購入する読者もいるだろうし、ダイジェスト版をつくるなど、雑誌全体をパッケージとして長期的に売っていくというのは、ビジネス・モデルとしても安定するのではないかと考える。


書籍と違って、雑誌の場合は増刷するのはコスト的にも手間から言っても大変なのはわかるので、初めからバックナンバーとしてストックしておく分も含めて印刷するか、全部配本しないという方法をとってもいいかと思う(すでにやっている出版社もあると思うが)。


資料やビジュアルを一覧できたり、情報を読み解き、わかりやすく、読みやすく編集し直して提供するという、ネットにはできない強みをより発揮するためにも、出版社だけでなく書店まで含めた、このバックナンバーをいつでも見れたり、買えたりできる環境づくりというのが必要になってくると思う。


この機会にバックナンバーを買う方法をネットで調べてみたが、ネット書店のほか出版社のサイト、一部の大書店や雑誌の豊富な古書店で買うか、買えなければ、あとは図書館で読むという方法が一般的だ。


前回のエントリでも触れたブックファースト新宿店で5000種の雑誌が揃っている「TOKYO Magazine Center」が復活するというニュースはうれしい。


私の行動している範囲では、ジュンク堂書店池袋本店やリブロ池袋店やリブロ池袋パルコ店などで比較的多くの銘柄のバックナンバーが買えるので恵まれているほうだと思うが、銀座の教文館や吉祥寺のブックス・ルーエなども、バックナンバーの品揃えには力を入れているようだ。


そのほかには、以前に比べ、取扱いジャンルや雑誌数も減ってしまったが、神保町の「書泉ブックマート」や「ブックパワーRBS」でもバックナンバーが買える。


出版社では、バックナンバーの販売に以前から積極的なマガジンハウスの雑誌の一部のバックナンバーがサイトで見れるようになっており、今後拡大していくのを期待したい。


また、ちょっと意味合いは違うかもしれないが、講談社の「モーニング・ツー」の、買えなかった読者のために、バックナンバーを無料で見れるようにしたのも面白い試みだと思う。


【雑誌バックナンバーについてのサイト】


雑誌ではないが、従来より300倍高速になったという、日本書籍出版協会の書籍検索サービスのページで試してみたら、確かに速いし、検索結果画面から直接ほとんどのオンライン書店にリンクしている。


ほんとほんやさんのはなしバックナンバー