講談社過去最大の赤字決算から読み取れる出版の未来

このニュースについては、


講談社過去最大の赤字決算〜続々・「出版敗戦」後を構想する必要:海難記http://d.hatena.ne.jp/solar/


◎しがらみもみえてくる 講談社が過去最大の赤字:tx別館(本とネットの話限定) http://d.hatena.ne.jp/urashinjuku/20090224/1235438981


◎気になるニュース・講談社、過去最大の赤字決算に:空想書店 書肆紅屋http://d.hatena.ne.jp/beniya/20090223


で詳しく分析、解説されているので紹介させていただく。いつも参考にさせていただき、ありがとうございます。


かつて出版社売上げトップだった講談社の2007年度の決算が相当深刻な数字になっている。12月以降の今期はさらに厳しい状況であることは間違いない。雑誌の広告収入と、コミック誌およびコミックスの売上げで高い収益を上げてきた同社が直面している状況は、大手の出版社が多かれ少なかれ直面している状況だということは言うまでもない。出版はどこへ行くのか、どうなってしまうのか、この先もっと大きな激震が待っているのか、想像もつかない。


公表されている具体的な決算数字は、


講談社・第70期(H19.12.1〜同20.11.30)】

  • 売上高:1350億5800万円(前年比6.4%減)
  • 営業損失:約62億円
  • 経常損失:約52億円

ジャンル別の内訳は、

  • 雑誌:前年比6.3%減
  • 書籍:同7.9%増
  • 広告:同10.2%減
  • コミック:発表なし

と主要3部門で大幅な減収となり、過去最大の赤字となった。


下の数字が、昨年6月に当ブログの雑誌の休刊・廃刊はもう止まらない!?:講談社07年の決算であげた前期の数字だが、比べると一目瞭然、1年でこんなに変わってしまうものかと驚くほどの、大幅な減収減益決算に陥ったことがわかる。今期の数字が例年のように詳しく発表されていないことも、より深刻な数字であることが伺える。


講談社・第69期(H18.12.1〜同19.11.30)】

  • 売上高:1443億100万円(前年比0.9%減)
  • 営業損失:3億3800万円
  • 経常利益:24億800万円(同25.5%減)

ジャンル別の内訳は、

  • 雑誌:221億円(前年比1.3%減)
  • コミック:664億円(同2.1%減)
  • 書籍:315億円(同5.4%増)

営業ベースで損失計上となったのは4年ぶり。


講談社が発行する主な雑誌の平均発行部数をリストアップしてみた。昨年8月までの1年間の平均発行部数なので、後半はもっと減少し、9月以降も状況から考えればそれ以上に減少しているだろう。


講談社の主な雑誌の平均発行部数(2007.9−2008.8)
 
女性誌

  • 『ViVi(ビビ)』(女性ヤング):441,667(-16,649)
  • 『with(ウイズ)』(女性ヤングアダルト):531,684(-2,929)
  • 『GLAMOROUS(グラマラス)』(女性ヤングアダルト):119,584(-8,916)
  • FRaU(フラウ)』(女性ヤングアダルト):85,000(-4,999)
  • 『Grazia(グラツィア)』(女性ミドルエイジ):68,500(-3,230)
  • VoCE(ヴォーチェ)』(ビューティ・コスメ):107,500(-1,249)

少女コミック誌】

  • 『なかよし』(少女向けコミック):343,750(-56,250)
  • 別冊フレンド』(少女向けコミック):113,417(-26,833)

【女性コミック誌】

  • 『デザート』(女性向けコミック):122,334(-26,999)
  • 『ザ・デザート』(女性向けコミック):128,167
  • 『Kiss(キス)』(女性向けコミック):159,250(-8,350)
  • BE・LOVE(ビーラブ)』(女性向けコミック):185,667(-8,666)

【少年・男性コミック誌・週刊】

  • 週刊少年マガジン』(少年向けコミック):1,773,021(-98,750)
  • マガジンSPECIAL』(少年向けコミック):84,667(-7,083)
  • 『週刊ヤングマガジン』(男性向けコミック):940,817(-40,412)
  • 『モーニング』(男性向けコミック):395,722(-17,578)
  • モーニング2』(男性向けコミック):100,000
  • 『イブニング』(男性向けコミック):179,584(-18,874)

【少年・男性コミック誌・月刊】

【一般誌】

※かっこ内は前年の平均部数との差


部数を増やした雑誌は1誌もなく、コミック誌の減少幅の大きさが目立つ。女性誌は部数はそれほど減少していないが、広告の入稿量の減少幅が大きいと、決算数字から想像できる。
今回、週刊百科のようなパートワーク誌をあげていないが、この部門は好調のようだ。パートワーク誌については、他社も含めて改めて触れてみたいと思っている。「週刊現代」の部数減少も止まらないようだ。