ほんやまにあの書店巡回日誌−4:出版状況論三部作を読む
6月16日(月)
今日は、フリー編集者・作家の仲俣暁生さんが書いている、
小田光雄著“出版状況論三部作”を読む
「出版はどこへ向かうのか──新しい「知のインフラストラクチャー」の設計や構築に、社会を挙げて着手すべき時期」
という記事が載っている「図書新聞」を買った。
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出版社と書店はいかにして消えていくか―近代出版流通システムの終焉
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仲俣さんが出演された、6月4日放送のNHKのクローズアップ現代「ランキング依存が止まらない〜出版不況の裏側〜」は、仲俣さんのブログの告知で知り、見ようと思っていたのだが、仕事でばたばたして、残念ながら見逃してしまった。
その後、空想書店 書肆紅屋さんの詳しい内容のブログや仲俣さんご自身のブログ「海難記」などで、だいたいの番組の内容はわかったのだが、微妙なニュアンスがわからないので、直接番組についての意見は書けない。でもやっぱり、本と本屋さんを巡る状況については、一読者の立場として感想を書いていきたいとは思っている。
海難記:本の買い方のリテラシー
http://d.hatena.ne.jp/solar/20080605#p1
海難記:ランキング依存その後
http://d.hatena.ne.jp/solar/20080614#p1
空想書店 書肆紅屋:今日の「クローズアップ現代」
http://d.hatena.ne.jp/beniya/20080604
空想書店 書肆紅屋:出版不況を考える
http://d.hatena.ne.jp/beniya/20080605
ウラゲツ☆ブログ:NHK「クローズアップ現代」08年6月4日:ランキング依存が止まらない〜出版不況の裏側
http://urag.exblog.jp/7182073/
今回の取材内容や原因の分析には、その立場によって様々な意見もあるだろうが、いわゆる出版業界と呼ばれる出版や書店の現場が大変なことになっていること、本と本屋さんを巡る状況が大変なことになっていることを、一般の読者が知るいいきっかけにはなったと思う。
次々と新刊が出版され、それが所狭しと並んでいる書店の店頭や、
新しい雑誌やコミック誌が次々と並べられるコンビニの店頭を見ていると、出版社や書店がこんなに大変なことになっていることは、一般の読者にはまったくわからない。
本を本屋さんに探しに行っても、その店になければ、アマゾンで頼んだり、ブックオフで似たような本を買ったり、図書館で借りてしまう。雑誌なら、眼についたときにコンビニやキオスクで買ってしまう。
そんな何気ない本の買い方や探し方を、みんながしている間に、どんどん本と出会うチャンスや可能性が失われていることを、業界外の人ももっと知るようになれば、状況は違ってくると思う。
出版業界の人たちはもっと、その本を読みたいと思っている人に、その本を売れない状況になっていることを、もっとアピールするべきだと思う。
読者のために本を揃えたくても、一書店の努力だけでは、どうにもならない部分があること。それぞれが生き残るために努力すればするほど、悪循環を起こし、状況は悪化してしまうことを、もっと説明したり、理解を求めるべきだと思う。
それがわかってきた本を愛する読者の間にはきっと、その本との出会いを守りたいという声が上がり、その動きが大きくなっていくだろうことを信じたい。
出版社、取次、書店それぞれの立場で、読者に本を送り届けられる努力や取組みは、これまでにない形で、やっていってほしいと思うが、読者にも状況を理解し、自分たちでも考えられること、手伝えることもあるのではないかと思う。
あまり難しいことはわからないので、私が考えている次元とはちょっと違うかもしれないが、仲俣さんの言う、
新しい「知のインフラストラクチャー」の設計や構築に、
社会を挙げて着手すべき時期
だという意見には賛成だ。
業界全体で大きな改革を進めていくことも重要だが、それぞれの立場で、今できる具体的なアクションを起こすことから始めていかないと、もっと大変なことになってしまうのではないかと思う。
だいぶ遅れ遅れになってしまったが、ランキングについては、また改めて触れたいと思う。