ハリーポッター最終巻、6日で7割売れ、5万部増刷


23日に発売されたハリーポッターの最終巻(第7巻)は、新聞報道や書店員さんのブログを見ていると、最終巻ということもあり、爆発的なものではないが、当初の予想よりも売れ行きがよいという声が多かったが、発売6日目の28日までに初版180万部の7割が売れ、5万部の増刷が決まったようだ。


出版業界紙新文化のニュースフラッシュによると、

静山社は発売6日目の現在、取次会社ほかの調査によって市場消化率を70%ほどと予測。品切れの書店から追加注文の要請も多く、取り急ぎ5万部の重版を決めた。「8月2週目には出荷したい」と説明している。

と伝えられている。


初版180万部という発表だったので、その70%というと、およそ126万部が6日間で売れたことになる(実際の出荷部数はわからないので、あくまでも憶測だが)。本がどんどん売れなくなっている今、この数字はすごいと思うが、1巻目が508万部も売れていることを考えると、ハリ・ポタでさえも、読者は3分の1近くまで減ってしまったと見るのか。


ハリ・ポタの取引条件は途中から、委託配本ではなく、希望数を注文できる代わりに買切りになっているので(5%までなら返品可)、大量に売れ残ったら大変で、顧客名簿があるわけではない本屋さんには、前回の売れ行きから、注文数をはじき出すのは(予約もある程度は取っているとは思うが)、けっこうリスクが大きい判断だと思う(早く完売してしまい、もう少し注文すればよかったという声も多く、売り損じという意味でも)。


ネット書店の予約特典をまとめたサイトがあったが、ポイントバックのほかにもけっこうすごい特典があり、この金額だと送料もほとんど無料になるので、それに対抗しなければならないリアル書店はよけい大変だ。


私も子供に読んでみたらとすすめたこともあったが、うちの子供は好みじゃなかったようで、映画は見たが本は読んでいない。結局、私もハリ・ポタを全巻読んでいるわけではないので、内容について語る資格はない。ただ、続編の発売を心待ちにしている熱狂的なファンが全世界に存在する、エンターテインメント性の高い小説であることは理解できるのだが、なぜハリ・ポタだけがこんなに売れてきたのか、別世界のことのようで、実感としてはわからない。


同じく新文化掲載の、出版科研が発表している「6月期の書籍・雑誌の販売額調査」によると、


書籍が対前年比8.2%減、雑誌同5.9%減という大幅な減少。

返品率は書籍が前年同月比0.9ポイント増の46.0%、雑誌が同1.7ポイント増の38.4%と、書籍・雑誌とも大幅に増えている。


なんとも本が売れない、売れないという数字や記事ばかり目につく今日この頃、6日間で3990円の本が126万部売れたという事実を、どう捉えたらいいのだろうか。


この売れ行きというのは、ハリーポッターだから、このシリーズ特有のものなのか、面白い本であれば、買って読みたいと思っている人がまだまだたくさんいるということなのか。


ハリ・ポタはいわゆる普通の児童書とは違って、読者の年齢層が広く、大人が自分でも読み、子供にも読ませるというパターンも多いと思うが、その子供たちは、ハリ・ポタをきっかけに、読書する面白さに目覚め、ほかの本も読むようになったのだろうか。


最終巻は2回に分けて映画化されるようなので、映画公開時にはまた話題になるとは思うが、ほんやまにあとしては、勝手に初回注文分が無事に売り切れることをただ願うばかりだ。


新文化オンライン
http://www.shinbunka.co.jp/


「ほんとほんやさんのはなし」
ハリーポッター最終巻は書店を今回も救ってくれるのか!?
http://d.hatena.ne.jp/dragon8/20080723/1216753778